樹齢1300年 巨大な「樟の木」が奈良阪町を見守ってきた
奈良豆比古神社境内に天然記念物奈良県指定(昭和26年11月1日(昭和52年5月20日新法)の巨大な「樟の木」がある。
地上約7mのところで南北二枝に分岐し、更に北枝幹は3m、南枝幹は4mのところでそれぞれ二分岐し古色蒼然たる樹相千歳樟であり、「樹齢は千年以上」とされているが、この奈良豆比古神社の歴史からみると、1300年以上も昔の出来事をこの樟の木は見てきたに違いない。
しかしながらこの樟の木は、神社境内の南西の谷間にあるので巨樹と言えども目立たない。平成5年(1993年)に保存推進のため周辺の整備を行い、あわせて町内の人々によって記念植樹を行った。
奈良豆比古神社の樟の木
土際の幹回り約12.8m
通り幹回り約7.5m
樹高約30m
枝張り約20m
樟の木について
樟の木は、神霊が宿る木、御室木(みむろき)といわれて神の木ともいわれている。この神木で仏像や柱を作ったことから、神や霊を数えるとき「〇柱」といわれるようになった。
日本で初めて樟の木で仏像が造られたのは、日本書紀によると西暦553年とされている。いずれにせよ彫刻の技術は、中国や韓国といわれるが、中国や韓国の仏像は石像が多い。遣唐使が廃止される890年代以降に日本独自の仏像や建築物ができることになる。
特に平重衡(たいらのしげひら)の軍勢が大仏殿や興福寺を焼いた、治承4年(1180年)がきっかけとなったのか、「平安後期〜鎌倉時代にかけて、本当の日本的な彫刻・日本独特の技術による木の彫刻になったと言われている。代表的なものは東大寺南大門の「仁王像」などがある。